学校法人浅川学園 認定こども園 ひかり園

ひかりえん

園長室より

子どもの力と考えを信じて待つひかり園

0歳から5歳児まで合計148名の園児で2019年度がスタートした。今までの2年間で、幼児の可能性について多くの事を学ばせてもらった。子どもと大人、生まれてからの経験は大人の方がはるかに多いが、発想や感性という点ではほとんど変わらないか、むしろ子どもの方が優れていると言っても過言ではない。

「えんちょうせんせー」と登園直後に遠くから駆け寄ってきてくれる子ども達の笑顔を見ると自然と顔の筋肉が緩んでほころんでしまう。私への声のかけ方が発達段階によって異なるのがおもしろい。初めは「園長先生、一緒にあそぼ」だが段々心得てくると「園長先生、外で遊びたいのでお願いします」に変わってくるのだ。

0歳児(ひよこ組)は言葉にはならないが、見るだけで泣き出す子、ご機嫌でにこにこ顔の子と反応は様々だ。1歳児(ことり組)ともなると自力で歩けるのでお気に入りの本や玩具を持ってだっこしてくる子が多くなる。2歳児(りす組)はさすがに言葉数が増えるので会話が成り立ち、給食を一緒にとると、ついつい話が伸びて食べるのが遅れてしまう。

年少児は4月に送ってきた保護者と泣いて別れていたのが嘘のように、荷物を片付けるのもそこそこに登園後すぐにウサギやカメを追いかけている。ウサギのお気に入りの場所や追いかけ方もうまくなり、私がいなくても「園長先生、ウサコ小屋に入れておいたよ」と得意げに報告してくれる。年中児は年少児の面倒を見たり、雑巾がけなど年長児の行動を真似たりして活動量はぐんと増える。中には私が錐で板に穴を空けていると一緒に揉み込んで、予想以上に早く貫通させるくらい行動的な子もいる。年長児は体操の列からはみ出す子に優しく手を貸したり、「それはカメムシと言って臭いんだよ」などと公園で見かける虫の名前や習性を未満児に教えたりと何事に於いても頼もしい存在である。

子どもは生まれながらに探究心、コミュニケーション能力、協同性、優しさなど生きていく上で大切な力を身につけている。それがいつ、どのように表出するか一人一人異なるので保育者が観察し、タイミングとアプローチの仕方を考えなければならない。

鋸や錐を園児に触らせるのは本来危険であるが、安全を確保し、手順に沿って指導すれば一人前の仕事ができる。前出の年中児は「もうちょっとで空くよ」と貫通間近を予測し、空いた途端「ヤッター!」と満面の笑顔で達成感を味わっていた。昨年度、鋸で木の枝を何本も切った年長児は、友だちに「こうやれば楽に切れるよ」とコツをアドバイスしていた。園児を一人前の人間として見て、可能性を信じて行けばどこまでも伸びる力があるという一端を見た思いである。これからも子ども達の「◯◯やりたい」を大事にして実現に向けて少しでも援助したい。

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